在シリアのイラン大使館への空爆で死亡したモハンマドレザ・ザヘディ革命防衛隊准将(右)らの肖像が描かれた看板。彼らを哀悼する言葉も記されている=2024年4月7日、テヘラン、佐藤達弥撮影
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 イランがイスラエルへの直接攻撃に踏み切り、中東情勢は緊迫の度を増しています。イランと「伝統的な友好関係」を自認してきた日本はどのような外交を展開すればいいのでしょうか。中東調査会の高岡豊・協力研究員(中東地域研究)は独自の仲介の困難さを認めつつ、日本が「できること」を探すよりも「何をしたいか」を示すべきだと指摘します。

  • イランのみ批判はダブスタ? 日本、見えぬイランとの「独自外交」

 ――イランが在シリアの大使館への空爆の報復としてイスラエルへの直接攻撃に踏み切った14日、主要7カ国(G7)首脳はテレビ会議を開き、イランを「最も強い言葉で明確に非難」しました。

 早かったですよね。イランによるイスラエルへの直接攻撃は初めてなので、大きく反応するのは当然です。しかし、これに先立つイラン大使館空爆への反応が極めて冷淡だったことと比べると、その差がほかの中東諸国などからダブルスタンダード(二重基準)とみられる可能性は高いと思います。

 ――大使館空爆について、イスラエルは自らの攻撃だと認めておらず、日本政府も確定的な評価を控えています。

 それでも、在外公館の安全は各国が外交関係を取り結ぶ際の基本です。外交の何たるかという問題になりかねない話なのに、軽んじられています。

「どちらが先か」は不毛

 ――イランはシリア経由でイスラム組織ハマスなどの武装勢力を支援してきたとされています。

 しかし、イランがシリアの外…

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