イランが14日、自国の大使館が空爆されたことをめぐり、イスラエルに対してミサイルやドローン(無人機)による報復攻撃に踏み切りました。今後、イスラエルはどう対応するのか。反撃する可能性はあるのか。中東国際関係が専門の江崎智絵・防衛大学校准教授に聞きました。
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――今月1日のイスラエルによるとみられるシリアのイラン大使館への空爆と、これに対する今回のイランの報復攻撃をどのように受け止めましたか。
これまでイスラエルは、シリア国内にあるイランの軍事施設や、親イラン勢力であるレバノンのシーア派組織ヒズボラの武器庫を攻撃するなどしてきましたが、今回は軍事施設ではないイランの(外交関連)施設を直接狙いました。イランにとって、主権がおびやかされたという衝撃は大きかったと思います。
ヒズボラは連日、イスラエル北部でイスラエル軍とミサイル攻撃の応酬を続けています。イランが支援する「抵抗の枢軸」の諸組織が(中東各地でイスラエルに攻撃的な)活動をするなか、報復をしないわけにはいかなかったのだと思います。
ただ、イランにとって米国を敵に回すのは好ましくありません。軍事施設を標的にして被害を抑えるなど抑制的なかたちで報復したのだと考えます。
「やられたらやり返す」 抑止力を高めてきたイスラエル
――そもそも、なぜ今月1日にイラン大使館への攻撃が起きたのでしょうか。
イスラエルの政治指導部はこれまで、半ば民意をあおるかたちで「実在的な脅威はパレスチナではなくイランだ」という見解を示してきました。
ただ、2011年にシリア内…