シリアのイラン大使館がイスラエルによるとみられる空爆を受け、イラン革命防衛隊の准将ら7人が死亡した事件で、イスラエルとその後ろ盾の米国が、イラン側の報復への警戒を強めている。ただイランは、イスラエルとの直接衝突は避けたいのが本音とみられ、報復の選択肢は限られるとの見方もある。
「我々の勇敢な男たちの助けを借りて敵を罰し、必ず復讐(ふくしゅう)する」。6日、イラン軍のバゲリ参謀総長はこう演説した。殺害されたモハンマドレザ・ザヘディ准将の葬儀がイラン中部イスファハンで営まれ、バゲリ氏はここに参列した。イラン国営プレスTVが伝えた。
ザヘディ准将は革命防衛隊の国外作戦を担う精鋭「コッズ部隊」の司令官の1人で、イランにとって戦略的に重要なシリアやレバノンを担当。欧米メディアの中には、2020年に米軍に暗殺された同部隊のトップ、ソレイマニ氏に次ぐレベルの高官殺害だったとする報道もある。
事件後、イラン側からはイスラエルに対する強硬な発言が相次いだ。ハメネイ最高指導者は「我々は神の力と強さによって、彼ら(イスラエル)に後悔させる」と報復を宣言し、ライシ大統領も声明で「この卑劣な犯罪は報いなしでは済まされない」とした。
こうしたイラン側の発言を受け、イスラエルも備えを進めている。事件後、防空部隊の強化や、全戦闘部隊を対象にした休暇の一時停止を発表した。報復の可能性を意識した対応だとみられる。
一方、イラクやシリアなどに部隊を駐留させている米国に関しては、米CNNが5日、イランがイスラエルだけでなく米国も標的に、早ければ14日の週にも重大な攻撃を仕掛ける可能性があり、厳戒態勢を敷いていると伝えた。
イラクやシリアの米軍拠点はこれまでも、イラクの親イラン武装組織などから繰り返し攻撃を受けてきた。昨年10月にパレスチナ自治区ガザでイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まり、米国のイスラエル支援に親イラン組織が反発していることが背景にある。
「大使館攻撃は策略」との声も
イランからは、どんな報復がありうるのか。
イランの外交関係者や研究者…