きれいになりたい。東京都内に住む30代の女性がそう思ったきっかけは、夫の不倫だった。
不倫相手は女性よりもひと回り以上年上。女性として「負けた」気がした。自己肯定感がぼろぼろに傷つけられた。
「夫を見返してやりたい。自信をもちたい」
すがるように選んだのが、美容医療だった。
情報はSNSで集めた。
あるインスタグラムに目がとまった。
都内の美容外科クリニックの男性医師がライブ配信で、視聴者の質問に真摯(しんし)に答えている姿が好印象だった。
クリニックのホームページには数多くの症例も載せられていた。
「僕の師匠はこの手術の第一人者」
2022年秋、クリニックを訪れた。
初めての美容医療。この日は相談だけのつもりだった。
カウンセリングで鼻筋を通したいと相談した。医師から「目も気になるね」と目の周りの手術を勧められた覚えがある。
そして、医師はこう付け加えたという。
「僕の師匠はこの手術の第一人者」「すごくいい手術で、みんな改善している」
カウンセリングは約30分で終わった。
医師は自信に満ちあふれているように映った。
充血やむくみなどのリスクの説明もあったが、「視力への影響はない」と言われたと記憶している。
スタッフからはこう言われたという。
「この先生は人気で予約が取れないけど、今なら予約枠が取れる」
記事後半では、執刀した医師と、「師匠」という医師に話を聞いています。
腫れ上がった顔、視界が二重に…執刀医「100点」
その日、約200万円で鼻と…