今年5月に起きたインドとパキスタンの軍事衝突は、世界に衝撃を与えた。世界最多の人口を持ち、核兵器も保有する「グローバルサウスのリーダー」は、モディ首相の長期政権のもとでどう変容してきたのか。現代インド政治を研究する中溝和弥・京都大学教授に聞いた。
――5月のインドとパキスタンの軍事衝突をどう見ていましたか。
「来るべきものが来たという感じです。インドのモディ首相はヒンドゥー至上主義団体『民族義勇団』の出身で、『テロとの戦い』によって政治的キャリアを築いてきました。その流れに乗ったものでしょう」
「もちろんテロは許されませんが、対応には様々な選択肢があります。2008年にムンバイで起きた同時多発テロでは約170人の死者が出ましたが、当時のマンモハン・シン首相はパキスタン攻撃には踏み切らなかった。今回はテロによる死者26人で大規模な攻撃を行っており、強硬な手段をとったといえます」
――なぜパキスタンに強硬姿勢をとるのでしょう。
「モディ氏は01年にグジャ…