消費税のインボイス制度を巡り、取引先から不利な契約を迫られる被害を受けたとする事業者の約97%が公正取引委員会に申告していなかった――。こんな現状が制度廃止などを求める団体のアンケートで明らかになった。申告しなかった理由の6割は取引先との関係が悪化することを懸念したからだという。
制度の導入に伴って、公取委は不利な契約を一方的に強いる行為は独占禁止法に抵触する可能性があるとして警戒を強化。相談窓口も設けている。
アンケートは「インボイス制度を考えるフリーランスの会」が3~4月にオンラインで実施。フリーランスや個人事業主、経営者などが対象で、1万538件の有効回答があった。
制度が始まった2023年以降、取引先から一方的な取引額の値下げや取引の打ち切りに遭ったと回答したのは4370件。このうち97・2%が公取委への申し立てを「しなかった」と答え、「した」は2・8%にとどまった。
申し立てをしなかった理由は「取引先との関係性を懸念した」が61・9%で最多。取引額の値下げなどが「制度によるものか明確な証拠がなかった」とするものが24・3%あり、「相談窓口を知らなかった」という回答も19・8%あった。
公取委は取材に対し、取引先との関係を懸念するとの声については「頂いた情報は情報提供者が特定されないよう、厳重に管理している」とコメント。その上で相談窓口に関しては「より周知を図りたい」としている。
8割が価格転嫁に難しさ
アンケートでは、インボイス…