「アクセシビリティスペシャリスト」
神戸市に住む全盲の和田浩一さん(66)はこの肩書でデジタル庁職員として働く。
アクセシビリティーとは、年齢や障害の有無にかかわらず利用しやすい製品・サービスの状態やその到達度を指す。
和田さんは当事者の立場から、省庁のウェブサイトの改善に取り組む。
視覚障害者の多くは、ウェブ上の情報を音声で読み上げるソフトを使う。ところが、サイト上の動画の音声と重なって聞き取れなかったり、写真やイラストを説明するテキスト情報が足りなかったり。そうした例をパソコンでの実演をまじえて省庁職員に説明し、改善につなげる。
「視覚障害は『情報障害』とも言われる。誰もが使いやすいウェブサイトが当たり前という意識を根づかせたい」
松山市出身。中学2年の夏、徐々に視力が低下する目の難病「網膜色素変性症」と診断された。
幼い頃から機械いじりが好きだった。工業高校に進みたいと考えていたが、両親の勧めで盲学校へ。当初は「見えるのに」と入ることに抵抗があった盲学校で、スポーツに文化にと活躍する生徒らに刺激を受け、充実した生活を送った。
耳で学んだプログラミング 自作ソフトがヒット
盲学校の教員になるため筑波大学の教員養成施設に進学。そこでプログラミングにのめり込んだ。母校の教員になってから4年後、30歳で文字が読めなくなった。
だけど、趣味は諦めなかった。プログラミングの専門書をボランティアに読み上げてもらった録音を聞いて学び続け、数々のフリーソフトを世に送り出した。
視覚障害者向け以外にも、通…