ウクライナ・リビウの国立オペラ・バレエ劇場で「人魚姫」を演じるナタリア・ステパニヤクさん=2024年11月、同劇場提供

 日本で生まれたオペラ「人魚姫」が、オーストリア・ウィーンを経由して、ウクライナに届き、西部の都市リビウの国立オペラ・バレエ劇場のレパートリーになりました。

 戦争の中でも、いや、困難の中にあるからこそ、文化を大事にしようという人々の熱意と、それに応える人たちの思いが、音楽でつながっています。作曲者の笠松泰洋さんが、いまも続くリビウとの交流と、垣間見た現地の姿を語ります。

リレーおぴにおん 「つづく」

 いろいろな人の縁がつながり、自作のオペラ「人魚姫」がウクライナ西部の都市リビウの国立オペラ・バレエ劇場で上演され、交流が続いています。

 このオペラは、アンデルセン童話の人魚姫がもし、海の泡にならず、生き残る道を選んでいたら――という物語。仏文学者で詩人の岩切正一郎さんが詩を、弦楽四重奏にハープが加わる曲を私が書き、ソプラノの中嶋彰子さんが主演して、2011年に日本で初演しました。初演では、このオペラの原案ともいえる、生き延びた人魚姫を描いたダンス「ティアーズ」を作った振付家の広崎うらんさんが共同演出で参加しました。

 19年、私は文化庁の文化交流使として南米とヨーロッパを回り、ウィーンで「人魚姫」英語版を上演しました。ウィーン市立音楽芸術大学教授でもある中嶋さんが尽力してくれた公演で、うれしいことに、とても好評でした。その時の主役がウクライナ出身のナタリア・ステパニヤクさん。彼女は母国での上演を強く望み、リビウの劇場と話が始まりました。でもすぐにコロナが広がり、延期に。そして22年2月、ロシアがウクライナに侵攻しました。

途絶えた連絡、ようやく来た知らせは「待っていて」

 連絡がとれなくなり、無事か…

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