ロシアによる全面侵攻が始まって2年以上が経ちますが、ウクライナでは今も、人的・物的な被害が増え続けています。では、どのように復興への道筋をつけるのか。ウクライナのデニス・マリュスカ司法相が、キーウ市内で朝日新聞の取材に応じました。
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――世界銀行などは今年2月、ウクライナの復興に、今後10年間で4860億ドル(約76兆円)が必要になるとの試算を出しました。
世銀の「4860億ドル」という試算は、インフラ施設や文化遺産についてのもので、犠牲者に対する賠償、国内避難民のために使われた金額は対象になっていない。
ウクライナで生じた損害は、ロシアが各国に保有するどんな資産よりも大きいものだ。欧州連合(EU)が、凍結したロシアの資産からうまれる利子や配当を活用することで合意したのは良い第一歩だと言える。心から感謝している。
ただ、私は、ロシア中央銀行の資産だけではなく、制裁対象になったロシアのオリガルヒ(新興財閥)らの資産も活用するべきだと考えている。ウクライナでは、オリガルヒらが国家としてのロシアと協力し、侵略を支援しているという証拠を裁判所に出し、資産を没収してきた。
――国連総会では2022年3月、141カ国がロシアの侵攻を「国連憲章違反」と断じました。22年11月には94カ国の賛成で、ロシアが損害賠償を含む法的責任を負うという国連総会決議も採択されています。
この侵攻は白黒がはっきりしたものであり、それは誰もが同意する。つまり、侵略であり、ウクライナの領土保全を侵害するものだ。それには責任が伴わなければならず、当然、賠償金を支払うという国際的な義務が生じる。ロシアの侵略行為に対する対抗措置として、(国家には他国の裁判権が及ばないとする)「主権免除」を解除することは、合法的な措置だ。欧米諸国や主要7カ国(G7)もロシアの侵攻によって多大な損害を被っており、対抗措置を適用する資格を有している。
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――6月のG7サミットでは…