ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、和平の道筋をつけるため各国の首脳や高官らが協議する初の「ウクライナ平和サミット」が15日から2日間、主催国であるスイスで開かれます。平和サミットの目的やウクライナ情勢に与えうる影響について、慶応大の鶴岡路人准教授(欧州政治・国際安全保障)に聞きました。
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――平和サミットの開催を強く求めてきたウクライナの狙いは何でしょうか。
本来的には、ウクライナのゼレンスキー大統領が提唱する10項目の和平提案「平和の公式(Peace Formula)」への支持を取り付けるための機会です。しかし、現実的には「公式」への国際社会の支持はあまり広がっていない。ロシア軍の完全撤退や賠償責任の追及など、実現が相当難しそうな項目が入っているからです。
実は、主要7カ国(G7)や欧州諸国の間でも、どこまで「公式」を直接的に支持するかについては温度差があります。例えば日本は「公式」自体への支持を明言せず、「公式の実施に向けたゼレンスキー氏の努力を支持する」との立場です。「中立」の立場でロシアと関係を維持する国も多いグローバルサウス(新興・途上国)が、「公式」への支持をためらうことに不思議はありません。
国際的な関心引きつける狙い
従って、今回の平和サミット…