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モスクワのクレムリンで2024年7月24日、経済関連の会合で発言するロシアのプーチン大統領=AP
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兵頭慎治・防衛研究所研究幹事に聞く

 ロシアによるウクライナ侵攻開始から、24日で2年半。その直前の今月6日、ウクライナ軍が初めてロシア南西部クルスク州に越境攻撃を仕掛けました。防衛研究所の兵頭慎治・研究幹事は「ロシアは反撃したくてもできないジレンマに陥っている」と指摘します。戦争の先行きにどんな影響があるのか聞きました。

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 ――ウクライナのゼレンスキー大統領は、越境作戦の目的を「ウクライナ北東部からのロシア軍の撤退」などと言及しています。どうみますか。

 ゼレンスキー氏は、緩衝地帯を設けてロシアからの越境を防ぐための攻撃で、自衛権行使の範囲内だと主張しています。批判されるような他国への侵攻ではないと強調する意図もあるでしょうが、いずれも表向きの理由です。

 ――本当の狙いはどこにあるのでしょうか。

 将来的な和平交渉に向けて、少しでも状況を有利にしたい思惑があります。

 ウクライナは現在、非常に追い込まれています。11月の米大統領選でトランプ前大統領が当選すれば和平を迫られる可能性があり、領土を失った状態で一方的に譲歩を迫られるかもしれない。和平交渉のカードにするために、ゼレンスキー氏が大きな賭けに出たとみています。

ウクライナ、米大統領選まで占領維持の狙いか

 ――11月の米大統領選までクルスク州の占領地を維持し続けるということですか。

 ウクライナは治安維持など占…

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