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カウンターに立つ小野ヤーナさん(中央)やビロボドスキー・オレクサンドルさん(左)ら=2024年4月20日午前10時10分、大分県別府市中央町、徳山徹撮影
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 【大分】ロシアによるウクライナ侵攻から2年余。別府市に住むウクライナ避難民の就労支援に役立てようと、地元のNPO法人「Beautiful World」が、同市中央町のJR別府駅高架下にある「べっぷ駅市場」にウクライナ料理店「リトル・ウクライナ」を開いた。手作りの家庭的な味が楽しめる。

 オープン初日の4月20日朝。リトル・ウクライナの店内では、出来たての料理が調理場からカウンターに出されると、客がセルフ方式でテーブルに運んだ。メニューはボルシチ(650円)やピロシキ(300円)、クレープに似たムリンチ(500円)など。長女と日出町から訪れた後藤阿也さん(39)はボルシチなどを頼んだ。「野菜が多く、優しい味でおいしかった」とほほ笑んだ。

 別府市の比嘉亮さん(29)はピロシキなどをテイクアウトで持ち帰った。比嘉さんは以前、近所に住んでいた50代のウクライナ人女性が仕事探しに困っていたのをみて、代わりに求人側に電話をして雇用を申し込んだことがあるという。「ポスティングなど日本語が出来なくてもできる仕事だったが、(求人側は)『日本語ができないとねえ』という感じで門前払いだった」と振り返る。「こういう店が増えるといいのですが」

 店を運営する同法人理事長の小野ヤーナさん(41)はウクライナのハルキウ出身。別府市の立命館アジア太平洋大学(APU)を卒業し、横浜市などで働いた。旧ソ連圏の障害者支援活動をするようになり同法人を立ち上げたが、ウクライナ侵攻が始まってからは避難民支援に軸足を移し、土地勘があって避難民受け入れに熱心な別府市に「Uターン」した。

 県や市によると、現在県内にいる避難民は28人で、いずれも別府市内で暮らす。小野さんが店を開いた目的は二つ。避難民の就労応援と、同法人の活動資金の確保だ。

 通訳を務め、体調を壊した避難民を病院に連れて行く――同法人のこんな活動を通じて感じたのは「『言葉の壁』は大きい」だった。特に女性や高齢者、持病がある人が働ける場はなかなかない。「日本人でもそういう人は仕事探しに苦労するが、日本語ができない避難民は余計に苦労している」

 また、同法人の活動資金は寄付頼みだ。ロシアによる侵攻直後と比べると現在の寄付は8割減ったという。「売り上げを活動費に充て、避難民にも配れたら」

 小野さんは旧知のITコンサルタント業古城正信さん(41)に昨年12月、協力を頼んだ。古城さんの知人たちがスペースを融通したり、内装を手伝ってくれたりした。

 当面は、小野さんの両親で同法人の活動を応援するために避難先の米国から別府市に転居したビロボドスキー・オレクサンドルさん(66)夫婦が中心になり、店内で調理。ほかに6人の避難民女性が交代で料理づくりを手伝う。

 日本財団は避難民に1人あたり年間100万円の生活費を提供するなどの支援をしてきた。別府市も市営住宅の無償貸し出しや世帯ごとの現金支給、家財道具をそろえるなどの支援を重ねてきた。小野さんは「支援がなくなったときに備え、避難民が働ける場を何とか考えたい」と話した。

 リトル・ウクライナは月曜定休。営業時間は火~金曜が午前8時半~午後2時、土、日曜は午前10時~午後3時。(徳山徹)

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