Smiley face
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虚構新聞を運営するUKさん。普段は塾講師をしている=2025年3月14日、大阪市北区、岩本修弥撮影

 「花粉症用に目ブラシを発売」「円周率が10桁目で割り切れる」。これらは、パロディーニュースのサイト「虚構新聞」が配信したウソの記事です。運営する社主のUKさんによると、風刺が書きづらくなったといいます。その思いを聞きました。

虚構新聞UKさんも出演する「5・3集会」申し込みはこちら

記者2人が殺傷された阪神支局襲撃事件から38年となる5月3日、朝日新聞労働組合は「言論の自由を考える5・3集会」を開きます。テーマは「フェイクニュース」です。オンラインでライブ中継します。参加無料。視聴には事前申し込みが必要です。

 ――虚構新聞は昨年、創刊20周年を迎えました。

 最初は、別の個人サイト用にエープリルフールだけウソのニュースを書いていました。それが楽しくて「エープリルフールじゃなくてもウソを書いてもいいのでは」と考えて、いまは4月1日以外はウソの記事を書いています。週に1本ぐらいのペースで、全て自分で書いています。

 ――反響の大きさに戸惑ったこともあると聞きました。

 2011年に配信した「4月から、17文字に ツイッター」は、ツイッター(現X)の投稿文字数が制限されるというネタです。日本人には俳句の文化が浸透しているので「五・七・五」で表現できるというところからの着想です。僕の中ではさすがにないと思っても、真に受けた人もいました。ぶわっと拡散して初めてSNSの怖さを感じました。

「全国民にカレーライス配布」 書いてないのに

 ――記事の内容が事実になると、訂正を掲載しています。

 20年に「2mのロングバトンも コロナ禍で『新しい運動会』」という記事を出した直後に、ある小学校の運動会で本当に2メートルのバトンが使われました。そこまで想像力が至らなかったことが悔しかったです。

 16年に配信した「虚構ニュース自動作成するソフト開発 千葉電波大」も訂正を出しました。ChatGPT(チャットGPT)を使って虚偽の記事を自動生成できたためです。執筆当時から生成AI(人工知能)があることは知っていましたが、データを整理した記事生成が限度で、創作記事の領域までは及んでいませんでした。こんなに早く実現するとは思いませんでしたね。

 ――現実と虚構があいまいになってきたということでしょうか。

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