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写真・図版
冬木透さん=2017年撮影、東京都杉並区、浅野哲司撮影

 ウルトラマンシリーズを筆頭に、数多くの劇伴(テレビや映画の音楽)や合唱曲を手がけた作曲家の冬木透(ふゆきとおる)さんが26日、旅立った。1967~68年に放送された「ウルトラセブン」の主題歌を、現代の子供たちが今も「セブン!セブン!セブン!」と歌い続けている風景を、「うれしさを超えて、少し怖い。とんでもないことだと思う」。一方で、この音楽で共生と平和への祈りを、子供たちの心の奥深くに刻むことができたら――と、取材のたびに語っていた。「ウルトラセブン」に懸けた冬木さんの思いを、あらためて振り返る。

  • 作曲家の冬木透さん死去 「ウルトラセブン」の主題歌などを担当

 シンプルなドミソのハーモニーが、天地創造のごとく、地の底からゆっくりと積み上がってゆく。パイプオルガンを彷彿(ほうふつ)させる、響きの豊かさ、荘厳さ。そして訪れる「セブン!セブン!セブン!」という合唱による歓喜の爆発と、ホルンの咆哮(ほうこう)――。

 伊福部昭の「ゴジラ」や山本直純の「男はつらいよ」とともに、日本の劇伴の最高峰といえる「ウルトラセブン」の主題歌は、冬木さんの敬虔(けいけん)なカトリック信仰の証しであり、戦争によって失われた少年時代を取り戻す「真剣な遊び」の果実でもあった。

 「ウルトラセブン」の企画の…

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