原子力発電所の新設に、関西電力が動き出した。関電の原発は、長く未解決の課題を抱えている。たまり続ける使用済み核燃料をどうしていくのかだ。
青森県北東部の六ケ所村にある日本原燃の「原子燃料サイクル施設」。日本各地の原子力発電所で使われた核燃料を運び、再利用できるウランとプルトニウムを取り出す「再処理工場」があり、政府が進める核燃料サイクルの中核となる施設だ。
5月末、甲子園球場約195個分の広いその敷地を訪れると、建屋が整然と並び、関係会社の大小さまざまな工事車両が行き交っていた。敷地内ではいま約1万人が働く。様々な作業着、ヘルメット姿の人々があちらでは集団となり、こちらでは列をつくり、作業をしたり会話をしたりとにぎやかだ。
関西電力は2024年7月、社内で「エース級」と言われる18人をここへ送り込んだ。出向者数は45人に増えた。遠く離れた青森の施設に関電が入れ込むのは、再処理工場を目標である26年度中に稼働させたいから。1992年から敷地内で各種施設が動き始めたが、97年に完成するはずだった再処理工場は、トラブルが相次いで延期を27回も繰り返している。
さらなる延期となれば、原発…