本を読んで生きている
和歌山市の中心商店街「ぶらくり丁」かいわいに、本好きをうならせる選書で評判の書店「本町文化堂」があります。店舗2階にはイベントスペースを併設し、近くのミニシアターとタッグを組んで映画上映会や講演会なども開いています。店主の嶋田詔太さん(38)が、オススメの本を通じて日常をつづります。
初回は、生まれ故郷の大阪を愛し、オダサクの愛称で親しまれた織田作之助の「夫婦善哉」を取り上げます。
織田作之助「夫婦善哉(めおとぜんざい)」
蝶子と柳吉はやがて浄瑠璃に凝り出した。二ツ井戸天牛書店の二階広間で開かれた素義(そぎ)大会で、柳吉は蝶子の三味線で「太十(たじゅう)」を語り、二等賞を貰(もら)った。景品の大きな座蒲団(ざぶとん)は蝶子が毎日使った
先日、テレビの取材を受け、それが夕方のニュース番組で放送された。取材のテーマは「本の配送遅れ」。この4月から和歌山県内全域で、雑誌や新刊書籍の多くが全国一斉の発売日に書店に届かなくなっている。物流の2024年問題や、それ以外の出版業界のもろもろの問題の結果だが、何にせよ、書店が置かれている状況はますます厳しい。
そうした中でも、町の書店で…