オランダのスホーフ首相は3日、辞意を表明した。第1党の極右政党「自由党(PVV)」が移民政策に反発し、4党連立政権から離脱したことを受けての判断。新政権が発足するまで、PVVを除く3党の閣僚らとスホーフ氏が、暫定政権として職務を継続するという。
PVVのウィルダース党首は、難民申請目的の外国人の流入を減らすため、軍による国境封鎖や、「シリアの大部分は安全」だとして短期ビザで入国するシリア人の国外追放などを盛り込んだ10項目の計画を発表。連立を組む他の3党に、合意の署名をするよう迫っていた。
しかし3党は、いくつかの項目が欧州人権条約や、オランダも批准する難民条約に違反していると指摘。署名を拒んでいた。結果、ウィルダース氏は連立政権からの離脱を決めた。
スホーフ氏は、PVVの政権離脱劇を「不必要で無責任」と批判。新政権が発足するまで職務をまっとうするとしたが、PVVが離脱したことで下院の過半数を維持できなくなった。
ロイター通信は、10月以降にも総選挙が行われる可能性があると伝えている。
PVVは、2023年11月に行われた下院総選挙で、イスラム系移民の排斥などを掲げて第1党に躍進した。ただ、極右のPVVとの連携や、その党首であるウィルダース氏の首相就任を他党が認めず、政権発足までに8カ月間を要した。
妥協案として、連立4党のいずれにも属さず、情報機関の長官などを務めたスホーフ氏が首相に就任した。しかし、連立政権内の足並みは最後までそろわなかった。オランダでは23年にも、難民の受け入れをめぐって政権が分裂し、総辞職していた。