秋の仙台で流した「悔し涙の勝利」を忘れていない。
オリックス・バファローズの宮城大弥は、素直に心の内を明かした。
「そこは悔しい結果に終わったので、今年は投げきりたい気持ちがある」
昨季の最終戦、10月6日にあった東北楽天ゴールデンイーグルス戦だった。
エースだった山本由伸がドジャースへ移籍したシーズン。
宮城は5月の試合で左大胸筋を痛めたこともあって、フルに働けていなかった。
だからこそ、狙って、つかみにいったものがあった。
最優秀防御率のタイトルと、4年連続となる規定投球回数への到達だ。
そぼ降る雨のなか、先発した。
六回まで3安打1失点と好投した。
だが、雨は強まる。
試合は七回表1死の場面で中断した。
この時点で、規定投球回数まで、あと1回と3分の1イニング足りなかった。
- 「関係ねえ」は「恥ずかしい」 甘党・宮城大弥が控えたクッキー
最優秀防御率は、あと2回と3分の1イニングを自責「0」で抑えていたら、獲得できる可能性があった。
しかし、試合は再開されることなく、球審の「ゲームセット」のコールが響いた。
降雨コールドゲーム。
7勝目となったが、二つの「獲物」はもちろん、4年連続となる2桁勝利を逃すシーズンになった。
ベンチで恨めしそうに夜空を見やり、タオルで涙をぬぐった後、あらためて誓った。
「勝ちにこだわって練習や試…