実態をともなわない数字や施策で投資マネーを吸い上げる事案が相次ぎ発覚しました。市場の課題や教訓はどこにあるのか。証券取引等監視委員会の事務局長も務め、金融庁で企業不正の監視と摘発に長く携わった佐々木清隆・一橋大大学院客員教授に話を聞きました。
――不正な循環取引が判明したオルツの事案をどう受け止めていますか。
「2010年に粉飾決算が判明し、上場から短期間で上場廃止となったエフオーアイの事件と似ている。不正を働く会社が一番悪いが、監査法人や主幹事証券会社、東京証券取引所が不正を見抜けなかった構図は同じ。対策や改善を積み重ねてきたはずなのに、なぜまた同じように起きるのかと。正直、あきれました」
はやりものは要注意
――オルツは広告費や売り上げの実態がほとんどありませんでした。
「取引の実在を確認するのは…