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 パソコンのデータを暗号化して身代金を要求する「ランサムウェア」攻撃による被害が後を絶たない。9月には新たに関西の物流システム会社が攻撃を受けたと発表し、同社に出荷を委託していた多くの物販会社に影響が及んだ。なぜ攻撃はやまないのか、その対策は――(御船紗子、板倉大地)

企業などの被害が相次ぐ「ランサムウェア」攻撃。大手・中小問わず、あらゆる規模の会社に攻撃を受けるリスクがあるといいます。記事の後半では、近年の警察への被害報告件数を紹介するほか、専門家に対策について聞いています。

突然のメール「ウイルスに感染」

 9月13日午前、食品メーカーのオフィスに一通のメールが届いた。「一部サーバーでランサムウェアウイルスの感染を確認いたしました」。オンラインショップの出荷業務を委託している物流システム会社「関通」(兵庫県尼崎市)からだった。

 メールを受け取ったのは「ケンミン食品」(神戸市)。1950年の創業以来、ビーフンなど多くの食品を製造してきた。オンラインショップは事業の柱の一つだ。

 同社は出荷作業を関通に委託している。オンラインショップに注文が入ると、氏名や住所、注文内容などの情報が関通側にわたる。この情報を元に、関通が商品のピッキングや梱包(こんぽう)、出荷を自動で行う。

 このシステムなどがランサムウェアの被害にあったとみられ、同社はオンラインショップを閉鎖した。関通がランサムウェアの攻撃にあったとされる12日から連絡を受けた13日までに注文を受けた利用者には、個別に連絡を入れた。

 すでに注文を受けた分に関して、関通は紙の伝票を元に出荷作業を全て手作業で行った。ケンミン食品は毎日社員を関通側へ派遣し、出荷する商品の検品をしたという。出荷業務が代替システムに移管され、オンラインショップは25日に復旧した。

 「事業の柱の一つ」であるオンラインショップは、10日間以上売り上げゼロになった。担当者は「売り上げゼロも痛かったが、これまでのお客様が離れていくかもしれないという不安が大きかった」と話した。

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