業者に返金を求めるために、弁護士に依頼した利用客もいる(画像の一部を加工しています)=マハール有仁州撮影

 一般客の依頼を受け、業者しか参加できないカーオークションで中古車を出品したり落札したりする仕組みは「オークション代行」と呼ばれる。近年、中古車販売店よりも割安だとして利用者が増えている。ところが、東京都内のある業者に関してはトラブルが続出。「出品したはずの車の落札金が振り込まれない」「金を支払ったのに車が届かない」などと数十人が被害を訴える事態となっている。

 関東地方に住む男性は2月、人気の高級ミニバンを売ろうと考えていた。過去に代行業者を利用し、高く売れた経験があった。

 東京都港区に本社がある業者に決め、やりとりを経て、車をオークション会場まで運んだ。「この価格に達しなかったら売却しない」という「希望価格」は七百数十万円にした。

「落札された」はずが…

 入札の日、業者の担当者に電話すると「希望価格より少し高い額で落札された」と伝えられた。

 しかし、落札価格から手数料などを引いた額が支払われてこない。催促しても何度も先延ばしされた。車も戻ってこない。「車を売ったお金でローンを返して、新しい車を買おうと思っていたのに」。弁護士に相談したが返金されない可能性もあると言われ、途方に暮れている。

 カーオークションは本来、中古車販売業者が売り物にする商品をやりとりする場所だ。古物商の免許を持ち、オークション主催者が認めた業者のみが出品、落札できる。「日本オートオークション協議会」が公表しているものだけでも全国に126会場。毎週開かれているという。

「オークション代行」を利用する流れ

 販売店の利益が上乗せされていないため、売るのも買うのも店頭よりお得だが、一般客は参加できない。そこに目をつけて「手数料だけで車をお得に取引できる」とうたったのが、オークション代行業者だ。代行だけなら、在庫を抱えずにすむという業者側のメリットもある。

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