今大会に出場しているオーストラリア代表で、日本生まれの二塁手がいる。福岡市出身の寒川瑛太だ。父の仕事の都合で12歳でオーストラリアへ渡り、野球を始めた。「いま日本でプレーできていることは、一生の宝物」とかみしめる。
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日本にいた小学生のころは、地域で盛んだったソフトボールに打ち込んだ。プロ野球の福岡ソフトバンクホークスのファンで、柳田悠岐選手に憧れた。「いつか野球をやりたい」。異国の地で見つけた硬式チームに飛び込んだ。
現在は、現地の高校2年生。オーストラリア代表への選出が視野に入り、国籍を出生地の日本から変更した。「あっちで生きていこうと決めていたので、いいきっかけになりました」
巧みな打撃が光る。ここまで全5試合にフル出場し、4割近い打率を残している。「オーストラリアは和気あいあいと楽しんで、やるときはやる」。沖縄ではチームと県平和祈念公園を訪れた。「当事者の目線で考えさせられたことで、より平和のありがたみを感じてプレーしています」
将来はオーストラリアの豊かな資源を生かすエンジニアになりたいと考えている。その前に、米国の大学に進学し、よりレベルの高い野球に触れたいと希望している。
「今回、代表に入れるとも思っていなくて、それでここでプレーできているのは本当にありがたいこと」。母国での思い出もエネルギーに、自分の道を進む。