遺伝病の赤ちゃんに対し、病気の原因となっている本人特有の遺伝子を改変するゲノム編集の「オーダーメイド」治療に、世界で初めて成功したと、米国の医療チームが15日発表した。遺伝病の患者にみられる遺伝子変異は様々で、患者数が少ない希少疾患の場合、薬の開発が難しく、根本的な治療が難しかった。オーダーメイド治療の他の遺伝病への適用も期待される。
米フィラデルフィア小児病院や米ペンシルベニア大学などのチームが、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)」で発表した。
「CPS1欠損症」にノーベル賞技術で
論文によると、有害なアンモニアを尿素に変える酵素「CPS1」を肝臓でつくることができない「CPS1欠損症」の生後6カ月の男の赤ちゃんに、特定の遺伝子を編集できる因子を静脈から2回にわたり投与し、遺伝子変異がある肝細胞に届けた。一時、感染症を起こしたが回復。初回投与から7週間後までには、アンモニア濃度を低く抑えられるようになり、体重の増加も確認できたという。この病気は、薬や食事でアンモニア濃度を抑えなければ死亡することもあり、肝臓移植が必要となる。
今回の治療は、2020年に…