大阪市で開催中の大阪・関西万博の会場には「オールジェンダートイレ」が複数設置されている。どんな性別の人でも使いやすいように配慮されたものだが、性別違和のある当事者と会場を見て回り、これからのトイレについて考えてもらった。
協力してくれたのは、男性に生まれて女性として生きるトランスジェンダーで、神戸市に住む由紀恵さん(26、仮名)と、男性として生まれ、女性寄りの中性として生きるXジェンダーで大阪市のひびきさん(39、仮名)。由紀恵さんは普段から女性用トイレを利用している。ひびきさんは男性用トイレの個室を使い、空いていなければ多機能トイレを使うこともある。
まず訪れたのは大阪府・市が出展する、東ゲート近くの大阪ヘルスケアパビリオン。男女共用個室が八つ並ぶ「みんなトイレ」があった。男女共用個室には、介助用ベッドやベビーチェアなどそれぞれ異なる設備がある。ほかに男女別トイレもあり、女性用は個室が二つ、男性用は小便器が二つとなっている。
由紀恵さんは、男女共用個室を囲む壁が天井まであり、ドアの隙間も少ないことから「静かで快適だし、防犯面で安心」と評価した。
一方で、出入り口が一つしかない点に「男性と鉢合わせする可能性も考えると、女性用トイレと同じ安心感はないかも」と話した。全体の構造については「男女共用が、男女別と同じ空間にあることで、むしろ『分けられている感』が強い。トランスジェンダーは男女別ではなく、男女共用を使った方がいいんじゃないか、と思わされるつくりじゃないか」と気になる様子だった。
次に向かったのは、大屋根リングの北端付近にあるトイレ。
赤や青の箱形の個室が分散的…