明治時代に建造された福砂屋本店=2024年11月、長崎市

 長崎のカステラの老舗「カステラ本家 福砂屋」が2024年に、創業から400年を迎えた。鎖国が迫る江戸時代初期に商いをはじめ、創業以来変わらない製法を引き継ぐ。時代に合わせた変化で、多様なお菓子がそろう現代でも人気は衰えない。

 本店は長崎市船大工町にある。明治時代に建造された白壁造りの建物には、カステラと書かれた長のれんがかかる。11月に訪れると、店舗内外には修学旅行とみられる学生があふれていた。

 創業家の16代目、殿村育生社長は「もの作りの心を大事にしてきた。品物を贈る方、受け取り召し上がる方までイメージして作ることが大事」と、商いの心構えを説く。

 長崎では福砂屋、文明堂、松翁軒が「カステラ御三家」と呼ばれる。そのなかでも、福砂屋は最も古い寛永元(1624)年の創業だ。

 同社の資料には、鎖国前の長崎では日本人とポルトガル人がともに暮らし、「初代福砂屋は、カステラなどの南蛮菓子づくりを直接に伝えられる契機があったものでしょう」などと記載される。その後、カステラ作りが本格的に始まったのは3代目のころという。

 創業以来、今でも続くこだわ…

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