サンピエトロ大聖堂のバルコニーから信者らに語りかける新教皇レオ14世=2025年5月8日、バチカン、藤原学思撮影

For Catholics, the Pope Is a Holy Father. For the World, He Is a Powerful Voice.

 新教皇選出からわずか数日後、レオ14世はカトリック教会をどのように率いていくのか、そのビジョンを示し始めた。

 レオ14世は、前任のフランシスコ教皇のように、貧しい者たち、社会の周辺に追いやられた者たち[the marginalized]を温かく包み込むつもりでいる。また、バチカンの扉を開き、教会のヒエラルキーの外で発せられる多くの声に耳を傾けようとした前任者の努力を継続する考えだ。そして、現代性のもたらす最大の試練に敏感な教皇である明確な印として、教会はAI(人工知能)が「人間の尊厳、正義、労働」にもたらす課題に取り組む、と述べた。

 インドや中国の人口に匹敵する14億人近いカトリック信者[followers]の指導者であるレオ14世の言葉は、世界人口の6人に1人に重大な意味を持つ。だが、それだけでなく、教皇という立場にはグローバルな発信力がある。教皇が取り上げる問題は、カトリックの同胞をはるかに超えて共鳴を呼ぶことができるのだ。

 フランシスコ前教皇が示したエネルギー、カリスマ、思いやりは、カトリック教徒だけでなく、他の宗教の信者や宗教と関係ない人たちにも、倫理上の問題について教皇が公的な発言者となり得ることを改めて気づかせた。

  • 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」

歴代の教皇は、世界に向けて発信できる立場をそれぞれに生かして来ました。新教皇レオ14世は、何を訴えていくのでしょうか。

 フランシスコ前教皇は貧しい…

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