カナデビア(旧日立造船)が3月下旬に公表した船舶エンジンのデータ改ざん問題の調査報告書で、不正が長年にわたって隠蔽(いんぺい)されてきた実態が明らかになった。歴代の経営トップも不正の継続を黙認しており、専門家は「悪質性のかなり高い事案だ」と指摘する。
不正の舞台となったのは、旧日立造船の有明工場のエンジン部門などを継承する形で2023年に立ち上げた「日立造船マリンエンジン」(熊本県)と1990年に因島地区の関連会社をまとめて発足させた「アイメックス」(広島県)の子会社2社。日立造船時代を含め、1999年以降に出荷するなどしたエンジン1375台すべてで、燃料消費量や排ガスの濃度などを書き換えていた。
報告書は原因究明と再発防止を目的に、外部弁護士らが2万件超の電子データの精査や過去の役職員ら71人へのヒアリングなどを行ってまとめた。最も件数の多かった燃料消費量の改ざんは遅くとも80年代には有明工場で始まり、燃費計に都合の良い値を表示する装置をつけるなどしていたという。
報告書は、30年以上続く不正を同社が断ち切る機会は「少なくとも3度あった」と指摘している。最初の機会は2012年、有明工場の不正を告発するメールが内部通報窓口に寄せられた時だ。
担当の法務部長が調査を指示…