前橋地裁=前橋市大手町3丁目

 コンビニコーヒーのカップに購入したコーヒーより高いカフェラテを注ぎ入れて盗み、見とがめたコンビニオーナーの男性を車から路上に転落させて殺害しようとしたとして、強盗殺人未遂の罪に問われた無職の被告の男(62)=群馬県太田市成塚町=の裁判員裁判の判決が10日、前橋地裁であった。山下博司裁判長は懲役9年(求刑懲役10年)の判決を言い渡した。

 判決などによると、被告は2022年10月25日午前6時50分ごろ、太田市泉町のコンビニで、Sサイズのブラックコーヒー1杯分(販売価格110円)を購入したにもかかわらず、より高価なMサイズのカフェラテを2杯分(販売価格360円)抽出して盗んだ。

 不正に気づいたコンビニオーナーの男性(当時74)に呼び止められたが、被告は隙を見て駐車場にとめていた軽乗用車に乗り込み、逃走。追いかけてきたオーナーがサイドミラーにしがみついていたのに車を発進させ、200メートル以上にわたり、最高時速約54キロメートルで走行した。オーナーは路上に転落し、外傷性くも膜下出血や脳挫傷などの重傷を負った。

 判決は「被害者が死亡する危険性が高い行為であり、被害者は右肩の後遺症も負い、これまで行ってきた仕事の作業ができなくなるなど生活を一変させるものであったことも踏まえると、被害結果は重大」と指摘した。(中沢絢乃)

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