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規格外梨を有効活用した潤梨の試作品=板持浩二さん提供
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 大切に育てたのに規格外となった梨を無駄にしたくない――。島根県安来市の農家が規格外の梨を活用した飲料「潤梨(うるり)」を開発した。来月末ごろから安来市内などの道の駅などで販売する。

 開発したのは100年以上続く梨農園の4代目、板持浩二さん(62)。35アールの農園で梨を栽培するが、悩みは毎年1~2割出る規格外の梨だった。

 温暖化で冬季に雪があまり降らないと、梨の天敵であるカメムシが大量に発生。果汁を吸われた梨は表面がデコボコになり、ジャガイモのようになる。特に昨年は被害が深刻。収穫量の6割が規格外になったという。

 そんな規格外の梨を飲料に活用することになったのは、経営者の集まりで知り合った兵庫県姫路市の漢方メーカーの担当者の助言がきっかけだった。「梨は東洋医学的には肺を潤し、肺とつながる大腸や皮膚にも良い効果がある」と助言されたという。

 昨年のカメムシ被害のあと、板持さんはメーカーと共同開発を本格的に推進し、商品化にこぎつけた。できあがった商品は一般的なジュースとは違って水や砂糖を入れず、梨の水分だけで発酵させた。松江市・大根島の「由志園」で栽培された規格外の高麗ニンジンも配合されている。

 今後、販売が軌道に乗れば、地域の梨農家から規格外の梨を買い取りたい考えだ。板持さんは「梨の香りがしてフルーティー。飲みやすくておいしいですよ。農家の収入安定化にも貢献したい」と話す。

 潤梨は1本300ミリリットル入りで6千円(税別)。事業費や広報費を確保するため、6月7日までクラウドファンディング(CF)も実施している。潤梨と温泉の入浴券のセットや梨の木の命名権などの返礼がある。詳細はCFサイト(https://camp-fire.jp/projects/828218/view別ウインドウで開きます)で紹介している。

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