2023年にカメルーンを再訪した平野美佐教授(左)は「トンチン(カメルーン版模合)はますます活気が出ていた」と話す=本人提供
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 南米でいまも息づく「頼母子講(たのもしこう)」は、ボリビアなどでは沖縄県での呼び方である「模合(もあい)」として伝わっています。沖縄の模合を研究してきた京都大の平野美佐教授(文化人類学)が、金融を通じたこの親睦のしくみに強い関心を持った原体験は、アフリカのカメルーンにあったといいます。詳しく聞きました。

 ――沖縄の模合はどのようなことをするのでしょうか。

 まずグループをつくり、定期的に集まって、お酒や食事を囲んで親睦会を開きます。その際、全員が一定の金額を持ち寄り、メンバーが毎回、順番にその総額を受け取っていく仕組みです。「月1回、1万円」を集めるグループが多いです。

 もともと模合は、庶民がお金を借りることが難しかった時代に、金融として機能してきました。かつては全国で同じような仕組みがありました。

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 ――海外にも模合があるのですか。

 私は大学院生の時にアフリカのカメルーンに住んでいました。そこで、カメルーン版の模合「トンチン」に出会いました。1年間参加してみましたが、かなり真面目な会合です。

 ――どんなものなのですか。

 毎週、100人くらいが集会所に集まります。私は100円のトンチンをしていましたが、4千円の人もいました。様々な金額のコースがあるので、集金作業が2時間くらいかかります。

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