カンボジアで忘れられない味が、宿泊先の朝食で出たクイティウという麺料理です。米粉で作られた細い麺は食べやすく、スープは朝の体に染み渡りました。日本でもその味を楽しみたいと、東京の神楽坂にある「カンボジア料理 バイヨン」を訪ね、シェフに話を聞きました。
カンボジア料理は辛すぎなくて優しい味なので、日本人も好きだと思います。たとえば、だしのきいたあっさり塩味のクイティウという米の麺料理。甘い味が好きなカンボジア人は、食べるときに砂糖を入れることもあります。
作り方は日本のラーメンに似ています。豚や鶏の骨、スルメや野菜などを使って、スープをゆっくり時間をかけて作ります。
ヒカマという野菜を知っていますか。日本では珍しいと思いますがカンボジアでは一年中あってよく食べます。見た目はジャガイモに似ていますが、ナシのようにシャキシャキしていてそのまま食べられます。ほんのり甘みがあって、クイティウのだしにも使います。カンボジアに行ったら、市場で写真を見せて「これを食べたい」と言ってみてください。
クイティウはカンボジアの代表的な食べ物ですが、実は私は子どもの頃から食べていたわけではありません。私が生まれたのはポル・ポト政権が終わったばかりの頃。ポル・ポト政権で国は崩れ、家も裕福ではありませんでした。
私が育ったのは首都プノンペ…