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広島・小園海斗

(5月15日、プロ野球 広島東洋カープ5―1読売ジャイアンツ)

 内角球を、広島の小園海斗は捉えた。六回1死満塁。打球は右翼席に届く。本塁を踏むと、ベンチ前で何度も跳びはねながら仲間とタッチを交わした。

 巨人の先発山崎伊織は今季、初登板から36イニング連続無失点を記録するなど5勝無敗、試合前までリーグトップの防御率0.45だった。プロ初の満塁本塁打は、好投手を攻略する貴重な逆転打になった。

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 小園は、4月15日には打率を4割2分4厘まで伸ばすなど、好調なスタートを切っていた。だが、調子を落とし、5月4日にはとうとう先発メンバーから外れ、2023年7月から続けていた連続試合出場も途切れた。

 その日、新井貴浩監督は外した理由を「グラウンドで弱い姿が見受けられた。キャンプの一番最初の全員ミーティングで、弱い姿を見せたら外すと全選手に言っている」と語った。厳しい叱咤(しった)激励に奮起した小園は、11日に今季初アーチを放つなど、復調しつつある。

 「情けない姿もあったけれど、絶対にやり返すという気持ちは忘れていなかった」と小園。試合後には祖父が13日に亡くなったことも明かした。

 兵庫県出身の24歳は、「野球を始めるきっかけがおじいちゃんで、甲子園によく連れて行ってもらった。頑張れとずっと言ってもらっていたので、今日はよかったです」。

 これで、本拠での巨人戦は6戦全勝。殊勲の一打は、祖父への感謝と惜別の一打でもあった。

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