パレスチナ自治区ガザ中部デイルアルバラで2025年7月22日、イスラエル軍による軍事作戦が行われた場所を歩く人=ロイター

 世界保健機関(WHO)は、パレスチナ自治区ガザの中部デイルアルバラにあるWHOの施設が21日、地上作戦を展開するイスラエル軍の攻撃を受けたと発表した。WHOでパレスチナ自治区の代表を務めるリック・ピーパーコーン氏が22日、米ニューヨークの国連本部でオンライン会見を開き、「主要な倉庫が破壊され、ほとんどの医療物資が失われた」と明らかにした。

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 WHOの発表などによると、倉庫は攻撃により爆発や火災が起きた。イスラエル軍が退避命令を出している区域にあったという。また、職員用の住居も攻撃を受け、職員2人と職員の家族2人が拘束された。22日現在も職員1人の拘束が続いているといい、WHOは解放を求めている。

 ピーパーコーン氏によると、倉庫には外科手術用の器具や物資、医薬品、抗生物質などが保管されていた。「(被害を受けた倉庫が)WHOの主要倉庫であり、必要性の高い医療物資があったことは誰もが知っている事実だ」と述べて攻撃を批判した。職員らが拘束された理由は不明という。

現地代表「現地病院は巨大な外傷病棟」

 滞在先のオランダから会見したピーパーコーン氏は「3週間前にガザに入った際、主要な病院にはけがをした患者が廊下も含めてあちこちにいて、巨大な外傷病棟となってしまっていた」とも話した。倉庫の破壊により、現地病院や救急医療チームなどへの支援が大きく制限されることになったとし、「国連加盟国には、ガザへの医療物資の供給が維持されるよう支援の拡大を求めたい」と訴えた。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、イスラエル軍は倉庫の被害について、倉庫周辺で攻撃を受けた軍が対応して起きたものだと説明。住居の被害については、軍関係者の説明として「住民が避難した後に空爆が行われた」と伝えている。

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