鈴木啓之・東大特任准教授

 パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けてきたイスラエルとイスラム組織ハマスが15日、停戦と段階的な人質解放に合意した。繰り返し頓挫した停戦交渉が、いま合意に至った背景は。今回こそは恒久的な停戦に結びつくのか。鈴木啓之・東大特任准教授(中東政治)に聞いた。

  • 【そもそも解説】ガザ戦争、なぜ長期化? 停戦で今後の展望は

 このタイミングで妥結に至ったのは、(紛争当事者や関係国が)トランプ氏が米大統領に就任する前に停戦にむけた成果を出したかったことに加え、イスラエル、ハマス双方をとりまく状況が大きく変わったことがある。

 ハマスは、ガザでの戦闘で連帯していたレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラがイスラエルとの戦闘で打撃を受けたうえで停戦し、同盟者が一つ減った。さらに、イランからヒズボラへの補給路となっていたシリアのアサド政権崩壊も重なって、ハマスは自分たちだけでイスラエルと対峙(たいじ)せざるをえなくなってしまった。冬を迎え、ガザの住民から停戦を求める圧力も相当高まっていたようだ。それらを背景に、人質の解放を条件とした停戦に踏み切ったのだろう。

軍の撤退定めた第2段階がポイントに

 ただ、現段階ではもろい停戦…

共有
Exit mobile version