パレスチナ自治区ガザでイスラエル軍による大規模攻撃が続くなか、ガザ保健省は21日、24時間以内に82人が死亡したと発表した。19日から支援物資の搬入が再開したが、必要とされる1日600台のトラックに遠く及ばず、深刻な人道危機が続いている。
AP通信によると、直近の攻撃ではガザ北部から南部まで、空爆が繰り返されている。学校に設置された避難所や、難民キャンプへの攻撃で犠牲者が相次いでいるという。ガザ保健省によると、21日時点での累計の死者数は5万3655人となっている。
国連によると、ガザの支援のために食料と医薬品を積んだトラック9千台が搬入に備えている。だが、19日には9台しか入らなかったという。イスラエル当局は20日に93台が入ったとしているが、国連は多くは検問所で待たされて搬入できず、必要な物資が届けられていないとしている。
イスラエルの元首相「戦争犯罪に近い」
国連のフレッチャー事務次長(人道問題担当)は20日、英BBCに支援が滞れば多くの乳児の命が危ぶまれると説明。報道によると、今年4月からの1年間で、1万4100人の乳幼児が重度の急性栄養失調に陥る可能性があるという。
一方、軍トップのザミール参謀総長は20日にガザを視察し、「新たな領域での支配を確立する」と述べ、イスラム組織ハマスの解体のために作戦を継続すると宣言した。「現在、作戦は次の段階に移行している」としたうえで「私たちは自衛のために行動している」と付け加えた。
大規模攻撃に各国からの非難が集まるなか、イスラエルのオルメルト元首相は英BBCのインタビューで、現在のガザへの攻撃は「戦争犯罪に極めて近い」と批判。「目的のない戦争で、人質の命を救うための何の成果を上げる可能性もない戦争だ」と述べた。