ガラス玉のように透き通った新種のクラゲが、沖縄の海で見つかった。研究者が体の構造を調べたところ、エサをとるための「触手」を持たないことが判明した。どのようにエサを食べているのかは、謎だという。
新種のクラゲを発見したのは、公益財団法人黒潮生物研究所の戸篠祥・主任研究員(系統分類学)らのグループ。傘の直径は5ミリほどで、「シライトトンボダマクラゲ」と命名した。日本プランクトン学会と日本ベントス学会が合同出版する英文学術誌に論文が掲載された。
静岡県に住む水中写真家の峯水亮さんが、2018年から22年にかけて、沖縄県糸満市沖と久米島沖でこのクラゲの撮影に成功。「種類の分からない謎のクラゲ」として、標本を戸篠さんに送り、調査を依頼した。「初めて見たとき、体が透き通って丸く、宝石のようだと感じた」と戸篠さんは振り返る。
新種のクラゲは、「花クラゲ目」というグループに属する。分類上近い関係にあるクラゲは口のまわりにエサを取るための触手があるが、新種は、触手を全く持っていないことが確認された。
戸篠さんは「海の中はまだ分からないことだらけ。このクラゲがどんな場所で育ち、どうやってエサを取るのか、今後の研究で明らかにしたい」と話す。