温泉街の広場に蓄電池機関車と耐熱客車が展示された=2025年3月28日、富山県黒部市宇奈月温泉、佐藤美千代撮影

 山岳観光の新たな目玉「黒部宇奈月キャニオンルート」をPRしようと、起点にあたる富山県黒部市の宇奈月温泉街に、機関車と客車が展示された。もともと発電所の工事用に造られたルートで、作業員や資材を運んだ旧型車両。観光客の受け入れに向けて、新型と入れ替えたのを機に、関西電力から市に譲渡された。

 広場の一角にお目見えしたのは、2004年製造の蓄電池機関車1両と耐熱客車2両。機関車は昨年6月まで、山中にある6.5キロの「上部専用軌道」を約19万キロ走ったという。

 狭いトンネルを走る車体は小さく、方向転換ができないことから、運転席は進行方向に対して横向きについている。客車は、約40度と暑い「高熱隧道(ずいどう)」を走るため、窓の曇りをぬぐう手動のワイパーを備えているのが特徴だ。

 キャニオンルートは現在、アクセス路の黒部峡谷鉄道が能登半島地震の影響で全線開通できず、一般開放は26年度以降に延期されている。28日にあった車両展示の披露式で、武隈義一市長は「開放への機運が高まり、観光客の皆さんに周遊していただく一助になれば」と述べた。

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