キヤノンが販売している医療機器=2023年10月18日、横浜市西区、田中奏子撮影

 キヤノンは30日、医療機器事業の収益性が悪化したとして、「のれん代」の減損損失1651億円を2024年12月期決算(米国会計基準)で計上した、と発表した。このため、純利益は前年比39.5%減の1600億円と、4年ぶりの減益となった。

 キヤノンは、16年に東芝から医療機器子会社を買収し、長期的な成長事業と位置づけている。しかし、ウクライナ戦争でロシアでの事業がほぼ停止。欧州全体の景気も低迷した。成長市場だった中国でも医療業界の大規模な贈収賄事件を機に、医療機関側から購入を控える動きが出て、見込んでいた収益が上げられなかった。

 当時6655億円を投じた買収額について、田中稔三副社長はこの日の記者会見で「医療機器は将来の期待の事業に変わりはない。高値づかみしたという認識は持っていない」と述べた。好調な米国市場を支えに、事業の売上高は伸びている。

 24年12月期の売上高は前…

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