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 映画のゴジラシリーズに登場する強力な宇宙怪獣「キングギドラ」にちなんだ学名に問題はないのか。2年ほど前に新種として発表された生きものについて、慎重に検討を重ねた結果が11月、米科学誌に掲載された。著者らは分類学上の懸念点や問題点をいくつか発見、ルールの順守などを呼びかけている。

写真・図版
キングギドラのオブジェ

 日本工営中央研究所の林亮太研究員、総合研究大学院大学の東山大毅特別研究員、国立環境研究所の五箇公一室長の研究チームが取り上げたのは、「キングギドラシリス」という環形動物。日本で見つかり、2022年に新種として発表された。枝分かれした体や、高い再生能力をもつという特徴がある。注目したのは、学名の「Ramisyllis kingghidorahi」だ。

 世界共通の生物の名前となる学名は「属名」と「種小名」の二つの要素で構成される。命名にあたっては、動物には「国際動物命名規約」というルールがある。

 キングギドラシリスの種小名の末尾にある「i」は、その名前が一個人に捧げられていることを意味する。「献名」と呼ばれ、よくあるのは、その生きものを最初に採集した男性に敬意を表してつけられるケースだ。女性だと末尾は「ae」になる。

複数個体と見なすべきか、そもそも種なのか

 チームはまず、キングギドラの性別について検証。科学的な根拠はないが、「キング」という名前から、オスとみなすのは合理的とみられた。

 ただ、キングギドラに詳しい…

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