石川県DMAT調整本部が置かれた県庁の一室。全国から多数の医療関係者が集まった=1月25日、金沢市

 発災から5カ月を過ぎた能登半島地震。過去の震災や事故の経験は、被災者支援に生かされたのか。現地で活動した、兵庫県内外の医療や防災の専門家らに話を聞いた。

DMORT

 西宮市の一般社団法人「日本DMORT」。「ディモート」と読み、「災害死亡者家族支援チーム」と訳す。

 吉永和正理事長は1月中旬、石川県輪島市の遺体安置所で遺族に寄り添っていた。

 看護師らが遺族の様子を見ながら時折声をかけ、遺体の体を拭いてメイクをする「エンゼルケア」もした。吉永さんは「発災後早く現地に入って支援ができれば、心のケアの効果も高い。今回はそれもできたのではないか」と語る。

 DMORTは1月4日から約10日間、輪島市と珠洲市の遺体安置所で、4チームがのべ126家族の支援をしたという。

 過去の災害では遺体安置所に入ることを断られるケースもあり、兵庫や愛知など各地の県警と事前協定を結んできた。今回は石川県警の協力を得て多くの遺族支援ができた、としている。

 DMORTは2005年のJR宝塚線(福知山線)脱線事故を機に、吉永さんと神戸赤十字病院の村上典子心療内科部長が立ち上げた。

 村上さんは、事故で18歳の息子を亡くした女性の主治医だった。

 女性の息子は搬送の優先順位…

共有
Exit mobile version