「みんなのためのクィア・フェミニストカフェ」をコンセプトにした店が兵庫県川西市にある。クィア(性のあり方について特定の枠に属さない人)もフェミニストも、安心して語り合える場所として人気が広がり、全国から客が集まる。
「ハラスメントは禁止です」
阪急川西能勢口駅から徒歩圏内にある「The Velvet House(ザ・ベルベット・ハウス)」(川西市小花1丁目)。
ラーメン店をリノベーションした2階建てのカフェの入り口には、次のようなメッセージが掲げられている。
「暴力もハラスメントも禁止です。珈琲(コーヒー)やケーキを片手にセーファースペースでの心地よい時間をお楽しみください」
1階にはカウンター4席、2階には座敷席とクィアやフェミニズム関連の本棚が設けてある。
オーナーの久木田依子さん(32)は「お互いを尊重して話し合いができる社会を、まずは川西市から始めたい」と狙いを話す。
大学時代、性自認への気づき
福岡県で生まれた久木田さんは、幼少期からバングラデシュとアメリカで過ごした。大学は、ニューヨークにある世界3大ファッションスクールの一つとも言われるパーソンズ美術大に進み、服飾デザインを学んだ。
そこで転機が訪れる。
「人と人をファッションを通じてつなげたい」という思いから取り組んだ大学の卒業制作。
安い大量生産のファストファ…