JR九州の子会社、JR九州高速船(福岡市博多区)が昨年、日本と韓国を結ぶ高速船「クイーンビートル」の浸水を隠して約3カ月運航を続けた問題で、福岡海上保安部は近く、当時の同社社長や法人としての同社を海上運送法違反などの疑いで書類送検する方針を固めた。関係者への取材で分かった。
問題をめぐっては、同社が昨年2月中旬、船首部分に浸水を確認したのに臨時検査を受けず、5月末までの約3カ月運航を続けたことがJR九州の公表資料などで明らかになっている。海保は同年10月に船舶安全法違反(臨時検査不受検航行)と海上運送法違反(安全管理規程違反)の疑いでJR九州高速船とクイーンビートルの船内を捜索していた。
同社は2023年2月にも浸水を報告せずに運航を続け、国土交通省が同年6月、海上運送法に基づく安全確保命令を出した経緯がある。関係者によると、海保は今回の浸水隠しがこの命令違反にあたることも視野に、送検容疑の内容を検討しているという。
命令違反は、22年に北海道・知床半島沖であった観光船沈没事故を受けた法改正で厳罰化された。法人には1億円以下の罰金、個人には1年以下の懲役か150万円以下の罰金、またはその両方が科される。同省によると、命令違反の罰則が適用されたケースは過去にないという。
クイーンビートルは定員502人で、福岡・博多港と韓国・釜山港を片道3時間40分で往復していた高速船。1991年から運航していた「ビートル」に代わって22年11月に就航したが、一連の不祥事などを受けてJR九州が昨年12月、運航再開を断念したと発表した。