長崎への原爆投下から80年を迎えた9日、石破茂首相は長崎市であった平和祈念式典でのあいさつで、「ねがわくば、この浦上をして世界最後の原子野たらしめたまえ」と訴えた。被爆した長崎医科大学(現・長崎大学医学部)の永井隆博士(1908~51)の著書の一節の引用だった。クリスチャンでもある首相。自身の思いをあいさつに盛り込み、6日の広島の式典と同様、独自の言葉にこだわった。
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首相があいさつで引用したのは、永井氏が自らの被爆体験を記した著書「長崎の鐘」の一節だ。永井氏は原爆で妻を亡くし、自身も重傷を負いながら被爆者を救護した医師。「長崎の人ならわかるが、全国には知られていない言葉を紹介することで、長崎に寄り添い、世界にも知ってもらいたいという思いで首相自らが選んだ」(首相周辺)という。
首相は、原爆で破壊されたカトリック教会「浦上天主堂」にも触れた。二つあった鐘の一つは原爆で壊れたが、米国のカトリック信者らの支援で、今年80年ぶりに復元されたばかりだ。
「先ほど、80年の時を超え…