バルカン半島のクロアチアで12日、大統領選の決選投票があり、現職のゾラン・ミラノビッチ大統領(58)が再選を決めた。同氏はロシアの侵攻を受けるウクライナへの軍事支援に否定的な見方を示している。
地元メディアによると、開票率100%で、中道左派野党「社会民主党」が支援するミラノビッチ氏が74.68%の票を獲得。与党候補のドラガン・プリモラツ元科学・教育・スポーツ相(59)は25.32%だった。
ミラノビッチ氏は2011年から16年まで首相を務めた後、20年の前回大統領選挙で当選した。ポピュリスト的な政治姿勢から、「クロアチアのトランプ」とも呼ばれ、中道右派与党の「クロアチア民主同盟」党首のアンドレイ・プレンコビッチ首相(54)と対立してきた。
欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)に加盟するクロアチアは、難民の受け入れ、人道支援物資や軍事用ヘリコプターの供与などを通してウクライナを支援している。一方、ミラノビッチ氏はロシアとウクライナの双方から距離を置き、関わるべきではないと主張してきた。
クロアチアでは首相が内政・外交全般に責任を持つが、大統領は軍の最高司令官を務め、外交政策でも一定の役割を担う。