高校野球を描いた漫画「野球部に花束を」や「ベー革」などで知られる漫画家のクロマツテツロウさん(45)は、奈良県立西の京高(2023年に閉校)で野球部に所属していました。チームが甲子園を目指す中、一人「無理やろ」と思っていたと言います。
練習は10時間のバッティングなど「めちゃくちゃ理不尽」。ピンチにも、チャンスにも弱い。そんな高校野球の経験を通して、クロマツさんは社会人として大事な「力」を身につけていました。
入部当初「俺、めっちゃヤバいところ来たわ」
小さい頃、サッカーをやりたかったんです。でも、父親が「駄目だ」みたいな感じで。8歳上の兄が野球をやっていた流れで、僕も小3の時に少年野球チームに。自由にやらせてもらえて楽しかったこともあり、高校も野球部に入りました。
入部してすぐの時、監督に「ちょっと来い」って言われて、グラウンドで正座しました。「お前、みんなのことを下に見てるな」と。それが、めちゃくちゃ怖かったんです。高校は2次募集で入ったんですが、自分でも気に食わなかったというか、態度に出ていたんでしょうね。いきなり見抜かれ、「俺、めっちゃヤバいところ来たわ」って思いましたね。いまだに怖いですよ。
セカンド志望なのに、ずっとショートでした。送球があまり得意じゃないので、セカンドだと一塁が近くて気が楽というか。でも、そういう「こすい」ところはすべて見抜かれていましたね。
練習はめちゃくちゃ理不尽。非効率な練習を長時間やってましたから。監督の夢が、1番から9番までホームラン打線を組むことで、バッティング練習を10時間やることも。みんな、どうやったら打球が飛ぶかだけを考えていました。
でも守備の練習をやっていな…