東京都内の中学に通うミャンマー人のナインさん(14)が野球を知ったのは3年ほど前。それからは阪神タイガースに救われている。
小学校5年生になる頃に来日。国語の授業についていけず、近所の個別指導塾に通い始めた。
40歳くらいの塾長は阪神ファン。生徒たちが問題を解いている最中にもネットのリアルタイム速報を見て、先生たちと楽しそうに野球談義をしていた。
ナインさんは、ミャンマーでは野球を見たことがなかった。「どんなスポーツなんですか?」。塾長に聞くと、9人制のスポーツで、打った球が落ちたらヒット、ボールより早く一塁に着けばセーフ。口をついたのは「なんか複雑そう」。
塾長は、阪神が勝ったときはにこやかに出席スタンプを押してくれるが、負けると「しょーもねえ」と機嫌が悪くなる。大の大人の人格をも変える「阪神」とは何なのか。気になってネットでいろんな動画を見た。
バックスクリーン3連発。巨人ファンとの「ヤジ合戦」。金本知憲選手の骨折翌日の片手ヒット――。伝説を知っていくうち、気づけばファンになっていた。
「国に帰れ」 心ない言葉から救った阪神
ナインさんの父ゾモタンさん…