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 グローバル化が進むと、ノーベル賞級の研究は生まれにくくなる――。筑波大学の大庭良介准教授(科学計量学)らがそんな研究結果を発表した。

 大庭さんらは、生命科学・医学の分野で、1971年から2020年までに出版された、53カ国の研究者の論文約2260万本を対象に分析。論文の中で、新しく出てきて、研究を活性化させた「萌芽(ほうが)的キーワード」の数や、その後多くの人に研究されるようになった影響力の大きな「ノーベル賞級キーワード」の数を調べた。

ノルウェー・オスロのノーベル研究所に飾られているノーベル賞のメダルの拡大版

 例えばノーベル賞級キーワードには、「アポトーシス(細胞死)」「オートファジー(自食作用)」「iPS細胞」などがある。

 まず、各国の名目GDPと、萌芽的キーワード数、ノーベル賞級キーワード数の関係を調べると、経済成長にともなっていずれも総数が増えていることがわかった。ただ、00年以降、ノーベル賞級キーワードの産出効率は下がっていた。この低下は、経済力とは関係がなかった。

 そして、各国の研究トピック…

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