東京地裁と東京高裁が入る庁舎=東京都千代田区

 地図サイト「グーグルマップ」に投稿された口コミで名誉を侵害されたとして、甲府市にある歯科医院の院長が米グーグルに対し口コミの削除を求めた訴訟の控訴審判決が23日、東京高裁であった。古谷恭一郎裁判長は請求を棄却した一審判決を取り消し、グーグルに口コミの削除を命じた。

 グーグルマップでは、地図上の店舗や施設に匿名で口コミを投稿できる。院長側は、この医院に対する「十分な説明なしに銀歯を取ろうとする」など2件の口コミについて削除を求めた。

 高裁判決は、サイト運営者に口コミの削除を求めるには、その口コミが社会的評価を低下させるもので、内容が真実でないと原告側が立証する必要があるとした。

 その上で、問題とされた口コミは、原告が不適切な診療を行う医師だとの印象を与えて社会的評価を低下させたと認定。院長が訴訟で、治療前には問診などの手順を踏んでいると説明したことから、「特定の患者に手順を変更するとは想定しがたい」として口コミの内容は真実ではないと判断し、削除請求を認めた。

 一審・東京地裁は「口コミは投稿者の主観的な不満で、原告の社会的評価を低下させるものではない」などとして原告の訴えを退けていた。

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