新緑の匂いに包まれた東京都あきる野市。季節の花を咲かせる個人宅の庭を一般に開放する「オープンガーデン」の取り組みを行っている同市で、一軒の家を訪ね、鳥のさえずりを聞きながら生命力あふれる庭を見せてもらった。
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幅16メートルほどの庭にはびっしりとコケ類が生え、ケヤキやサルスベリ、イワヒバなどが茂る。様々な植物が庭の中に配置され、まるで野山のような風景を生み出すさまに、思わずしゃがみ込んで見入ってしまった。
庭のあるじ、川名国男さん(77)は30年近くかけてこの庭を作り上げてきた。「コケの美しさ、生命力の強さに引きつけられてきた。特に雨上がりの生命力がよみがえった姿は本当に美しい」と話す。
花を通じてコミュニケーションの輪を広げようとはじまった同市の「オープンガーデン」。バラやビオラなど、色彩豊かな花々を育てる家が多い中、川名さんはコケで作った庭を「縮景苔庭(しゅっけいこけにわ)」と自ら名付け、独特の世界を作り上げている。
コケを切り取って岩などにはり付けておくと、そこに定着する。その作業を根気強く続けてきた。鳥や風が運んできた種が岩間などから生えて、ケヤキやヒメシャラなどが景色に彩りを加える。記者が訪れた時は、ミニバラが美しく咲いていた。
川名さんは調布市の深大寺周…