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植物学者の牧野富太郎が通った横倉山で岩に生えたコケを確認する片桐知之さん(右)と高知大の学生=2024年6月30日午後1時27分、高知県越知町、羽賀和紀撮影
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 植物学者の牧野富太郎が足しげく通い、多くの植物の新種を見つけた「伝説の山」がある。

 標高800メートル程度の横倉山(高知県越知町(おちちょう))。山中には1300種ほどの植物が自生する自然の宝庫だ。源平合戦で命を落としたとされる安徳天皇が、この地に逃れて生き延びたとの伝説も残る。

 一帯には環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種に分類された貴重なコケ植物も数多く自生する。しかし花や樹木と比べて華やかさに欠けるコケ類は研究者が少なく、その実態は謎が多い。

 その横倉山に絶滅危惧種のコケを探しに専門家が試験採取の調査に入ると聞き、同行した。

 高知市から車で1時間半。真っ白い霧に覆われた山の中腹にある駐車場で、高知大理工学部講師の片桐知之さん(41)が迎えてくれた。

 世界で唯一のコケ専門研究機関「服部植物研究所」(宮崎県)の所長から2021年に高知大へ転じた。コケの種類を正確に判別できる、国内で10人に満たないとされる研究者の一人とされる。これまでに九つの新種を発見した「コケハンター」でもある。

 5月には牧野博士の名を冠したマキノゴケが同県佐川町にある博士の墓近くで自生していたことを見つけ話題にもなった。

 「専門家が少ないコケについ…

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